Group 4

荒廃地緑化の経済的評価

 Group4では、ジブチにおける都市の有機性ごみと家畜を利用した荒廃地における緑化の適用可能性の検討と、牧畜民を受益者とした場合の、住民の所得・教育・健康の改善過程の解明を目的としています。

 都市の有機性ゴミと家畜を使った荒廃地の緑化において重要な点は、ジブチの自然・社会条件にあった緑化技術を確立する必要があると言う事です。現在、下水処理施設からの汚泥・処理水の実利用が進行中のDouda 農場をパイロットファームとして、汚泥・処理水の環境モニタリングを行いつつ、土壌の化学性の改善、および処理水の灌漑水利用を通じて放牧地のアグロパストラル・システムの確立と普及を目指します。

 荒廃地緑化による遊牧民の定住化、そして経済的あるいは教育や生活環境の向上などを実装するには、荒廃地緑化による効果と遊牧民のニーズが一致する必要があります。つまり、遊牧民にもたらされる便益と、遊牧民が定住を選択するために必要な条件を把握することが必要不可欠なのです。具体的には、遊牧民の、①現在の経済・生活環境における課題の抽出、構造的把握;②意思決定における人や組織による影響の構造の把握;③①の課題に対する needs と wants の抽出・評価、および荒廃地緑化による効果との関係を解明することです。

 これに加え、収入の増加に伴う教育参加率や子供の健康状態の改善などに、緑化事業が緑化レベルに応じてどの程度寄与するのかを、過去の水資源ポテンシャルに対応させつつ、経済学的手法を用いて定量的に明らかにし、今後生産が見込まれる農作物の潜在的需要を推計することで、ファームの持続的運用を目指します。